八重山ブラリ旅(2) 山本 晃


★ 3月27日
 今日も上天気。昨晩シャワーの湯がしみた日焼けが気になります。民宿の朝食もそこそこに手応えの予感が濃厚だったバンナ岳中腹へ、途中シマアカモズなどつまみ食いしながら急ぎます。いましたね〜、カンムリ君が昨日と同じ場所に。中腹の谷が営巣地に違いありませんが、亜熱帯のジャングルに突入するのにはかなり勇気が必要です。まだ産卵もしていないのにそんなことをすることは意味がありませんが巣を見つけてみたいものです。



 相変わらず「見晴し台」にとまったまま動かないカンムリ君。時々地上に舞い降りて何か捕まえるのですが、ヘボカメラマンはほかの事(内緒)に気を取られていてチャンスを逃してばかり。ロケーションが良いだけに、チャンスを捕らえられない自分に愛想がつき始めました。
 そのうち一羽が急に鳴き始め、何事かと注視しているとカンムリ君の視線の彼方上空にもう一羽の飛翔が見えました。どうやら領空侵犯に対する雄叫びのようです。スクランブルを掛けるに違いないとカメラを慌ただしく用意している間もなく飛び立ち、ゆっくりと我がテリトリーの主張に及んだカンムリ君は、光線も良し、距離も良しの最高の旋回飛翔を始めてくれました。ファインダーで見る飛ぶ姿は、木にとまってボケタンとしている精彩のない姿と違い精悍そのもの。碧空に舞うカンムリワシ勇姿に長年憧れていただけに、時間にしたら5〜6分でしょうが、感激ひとしおでした。手応え十分。デジカメは結果の確認がすぐに出来る優れモノですね。「ウンこれなら満足!」結果を確認した後は心地よい虚脱感。そうなると色気より食い気、腹のムシが鳴き始めたので昼飯を食べに下界へ降りました。



 またまたソバを堪能してから車で流していると何とカンムリワシの多いことでしょう、石垣島で十数番は繁殖していそうです。それにしても目立つ幼鳥(若鳥)の白い姿が全く見られないのが不思議でした。幼鳥は成鳥の縄張りから追い出されるので、より条件の悪い標高の高い場所に追いやられてしまうのでしょうか。こういう繊細なことには、たまたま訪れたブラリ旅のニンゲンの理解は及びません。
 カンムリワシの飛翔を激写できたので何だか満足してしまい、午後の早い時間から土産物屋を物色して色々買い込む始末。持ち歩くのは嫌なので「宅配」を頼み、ルンルンで夕食を何にしようか繁華街を彷徨います。食に拘りの薄いワタクシはまたまたソバ(苦笑)。しかし、うっかり入ってしまった気取った構えのレストランのソバは、いたずらに味付けをいじくり回し、ソバ本来の素朴であっさりした風味が台無しになってしまっていてガッカリでした。しかも値段は高い。くやしいので無理矢理食べ尽くし、後味の悪いゲップをしながら宿に帰り、泡盛を飲んで手応え十分だったカンムリワシを反芻しながら眠りにつきました。明日は早々に西表に渡ってしまおう・・・・。





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