八重山ブラリ旅(3) 山本 晃


★ 3月28日
 石垣島に見切りをつけ、予定より半日早く西表島へ。それにしても離島航路の船のスピードには呆れますね。ディーゼルエンジンの回転を目一杯上げて、ターボチャージャーの給気音が悲鳴に聞こえます。まあ、移動は時間の浪費と割り切ってしまえば有り難いことなのですが、後ろを見ると凄まじい波しぶきなので、燃料効率を考えるともう少しスロットルを絞った方が経済的ではありませんかと言いたくなります。



 大原(仲間港)で民宿のオヤジが出迎えてくださり、そのまま車を借りて西表周遊へ。おっとその前に八重山ソバをチャージ。いくら食べても飽きないのが不思議。初めて食べた時の宮古ソバの印象は「なんじゃこりゃ!?」でしたが、我慢して食べているうちにその不思議な食感と味の虜になってしまったのです。旅をしていて地元の食べ物がおいしく感じられるのは最高のことですね。おいしく食べて周囲の環境(風景)に感動して夜はぐっすり眠れたら、その旅は百パーセントの充実度の筈です。ワタクシはすんなり眠れないタチなので泡盛の助けを借りましたが、朝の爽快感は格別なものがありました。民宿のオヤジは、どういうコネクションがあるのか、とんでもないコレクションの蒐集家で、それらの説明だけで幾晩も要するでしょう。通貨、切手、民族衣装、民族楽器、エトセトラ。極め付けは或るニッポンの皇室の女性の花嫁衣装。こんなものをどうして西表の民宿のオヤジが持っているの?と不思議でなりませんでしたが詮索は止めておきました。とにかく人脈が半端ではないようです。



 大原から白浜まで一往復した感じでは大したことはなく、ノンビリ、ノホホンとした亜熱帯の島の雰囲気を堪能するにとどまりました。時々カンムリワシがとまっているのを見つけますが、相変わらず活動性に欠けたつまらない鳥に思えて来ます。時速40キロ位で走っていると、観光客のレンタカーがすぐに追い付いてきます。左に寄って追い越させていると目の前をキンバトが横切りました。飛んでいる姿もすばらしくきれいなハトですね。観光客にも見せてあげたいのですが、時間に追われた慌ただしい彼らを呼び止めるのもためらわれます。道路はというと「こんなに良くしてどうするんだよ!」という感想しか出ない立派なシロモノが60キロ続いています。当然スピードが出せますから小動物やカンムリワシの事故が後を絶たないようで、スピードダウンを呼びかける看板がいたるところに掲げられています。道路を良くしてスピードを出せるようにしておきながら、ゆっくり走れ!というのはかなり無理があります。当然何らかの措置が講じられてスローダウンを強制しています。不愉快極まりない方法、つまりきれいな路面に縞模様に分厚い塗裝を施し、ドライバーに不快な振動を与えて注意を喚起するのですが、逆にスピードを上げた方が振動が軽減できるということも言えそうです。
 夜はコノハズクの声が間近にさかんに聞こえ、夜の装備を用意して来なかったのが悔やまれました。


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